中野です
今日はこんな方がいらっしゃっていました。
まだ20代ですが、早発閉経と診断されて、
2年間早発閉経専門の不妊クリニック通いうまくいかず、
その後病院を変えて体外受精に挑むも結果につながらなかった方です。
その方がこんな悩みを持っていました。
早発閉経専門の病院は、
とにかく薬や注射をバンバン行い、
ホルモン値を安定させて採卵まで行う方針。
一方最近、転院した不妊クリニックは、
できるだけ薬を使わない方針の有名なクリニック。
薬を使わない分、
ホルモン値が安定しないようです。
でもドクターは「大丈夫だよ」と言ってくれるそうです。
本人からすると、
以前の病院は早発閉経専門なので自分のことをわかってくれている。
でも薬の使い過ぎが心配だった。
今は薬は使わないけど、「これでいいの?」と不安になる。
卵巣に対しての考えも対照的、
元のクリニックは「薬を使わないと卵巣が委縮してしまい、卵巣に負担」
今のクリニックは「薬でホルモンを安定させないからと言って卵巣の負担にならない」
と言われたそうです。
「一体、どっちが正しいのでしょうか?
私はどっちのクリニックが良いのでしょうか?」
と僕に聞いてきました。
あなたなら、どう答えますか?
僕はこんな感じで答えました。
・誰が正解かは分かりません
・たぶん誰も正解ではないというか、正直僕もドクターも分かっていません
・そしてどちらが正しいというよりメリット、デメリットを考えるほうがいいと思います
・もし以前の病院に行くならホルモン値が安定するメリットがあり、体に負担というデメリットがあります。すでに2年間かなり服薬していたので、この先長期の治療は体的に難しいと思います。
・今の病院に通い続けるなら、体の負担は少ないですが、採卵できる回数が未知数です。その代り、少ないですが一つ一つの卵子を大切にできます。
そして、
・大事なことは○○さんがどうしたいかです。
・そうと決めたらホルモンの数字がどうのこうのはドクターに任せてください。
・○○さんは、○○さんにしかできないことをしてください。
それは自分を大切にすることです。
さらに、
これまで2年間薬に耐えてきた体と、
薬で一生券面頑張った卵巣を大切にしてください。
不安や迷いを持ちながら頑張ってきた気持ちを大切にしてください。
僕の仕事はその手伝いをすることだけです。
とお伝えしました。
話していくと、
ご本人に今を大切に生きる意志が見えたのと、
後ろで見守るご主人が、大きく首を縦に何度も頷いていたのが見えました。
なので、
僕にアドバイスをもらいたいというより、
自分が「こうしたい」という思いに「そうすればいいんじゃない?」
と許可が欲しかったのだと感じました。
薬と早発閉経と卵巣と卵子
細胞という観点からいうと、色々とこじつけることはできますが、
それは今回は求められていないと感じました。
最近はこういう相談がとても多いです。
伝えた言葉に対する責任が大きく、
とても判断に迷う治療家も多いと思います。
でも、
答えは実はご本人が持っています。
それを引き出して、それに従えばよいと思います。
状況によっては専門性や理論を用いて、
半分説得する場合もあります。
その場合は、本人の言葉と本心がズレている場合です。
そして、「分からない」と正直に言う勇気も大事ですよ。
カウンセリングも治療もシンプルで奥が深いですね。
まだまだ成長しないとついていけませんね~
ただ、ポイントは変わるものと変わらないものの使い分けだと思います。
変わらないもの:人の在り方、その人の意思を尊重すること
変わるもの:理論や専門性
どちらかに偏らないでニュートラルに相手に向き合う姿勢が大事だと思います。
中野